日本における偽装結婚はどのような罪に問われるのか?

外国人に関わる法律

結婚の中にも愛にあふれた婚姻と形式的に男女が籍を入れているだけのものがあります。

後者は特殊な場合であって、本来そのような結婚はあってはならないものですが、歴史を紐解くと形式的な結婚と言うものが存在することは否定できません。

もちろん、最初は愛があった結婚でも共同生活をするなかでお互いの嫌なところを知ってしまい、いろいろな問題が生じることもあります。

やがて憎しみに変わることもあれば無関心に変わることもあり、結婚したころの愛を一生近い続ける人は数少ないのかもしれませんね

もちろんそれでも、自分のことを差し置いてでも相手のことを第一に考えているカップルは多くいますから、そのようなカップルは長年付き合っていてもうまくいくのではないでしょうか。

なぜ罪を犯してまで偽装結婚と言う誘惑に打ち勝てないのか

そのような考え方とは別に、罪とわかっていながらも偽装結婚という選択をしてしまう人もいるのです。

昨今問題視されていてよくあるパターンは、外国人女性が日本人男性の結婚相手を探し、日本人の配偶者等という資格をもって来日し、その多くは本来の結婚目的ではなく、仕事を目的として働いて報酬を国へ送るというものです。

以前であれば、アジアの国々のみならず、東ヨーロッパ~ロシア人などもこの偽装結婚を使って来日し、悪質なものになるとあえて日本人の高齢者と結婚して、相続するときにお金をもらいそれを自国に送金する強者や、日本の永住権が欲しいためだけに日本人と籍を入れて永住権を取得する人がいましたし、婚姻を成立させることで家族や本命の旦那を家族として日本へ呼び寄せる、という人道的に反するものもありました。

今までは、これら闇のビジネスにはブローカーが両国に存在し、結婚する日本人へ報酬を与える代わりに婚姻を成立させ、いわゆる結婚VISAを発行させてしまい、後は日本で働く女性より報酬を吸い上げるというパターンが多かったようです。

考えようによっては以前よりもタチの悪くなった偽装結婚の実態

しかし昨今のインターネット時代では、女性が直接男性を探し出して婚姻成立させてしまう、と言ったケースも見受けられるようになってきています。

これは仲介業者がいませんので、結婚相手との約束のみで成立してしまいます。
悪質なものになりますと、本当の結婚を装って結婚VISA取得をしたのち、やはり日本で働き、永住権取得後に離婚を成立させてしまうというケースもあります。

但しこのケースの場合、永住資格は簡単に取得できるものではありませんので、多くは離婚をせずにそのまま長期間日本にいて、仕事をしながら仕送りをするというパターンになります。

以前ですと、意図的に日本人との間に子供を作る事で、実は殆ど無条件のような状態で日本では永住権取得ができてしまいますので、それを狙った結婚すらが存在していました。

同じ人間として考えにくいことではありますが、このようなケースがあった事も事実です。

但し、誤解のないように言わなければならないのは、この偽装結婚と言う考え方に対しては、最近の傾向として少し変化してきたようです。

それは、「騙す」という事ではなく、最初から「偽装結婚」して欲しいという正直なリクエストを日本人男性にしてくるようになった事で、「合意」に基づく行為へと変化してきたことです。

特に出会い系サイトなどで見られる偽装結婚の傾向

現在偽装結婚が多いと言われている国の外国人などは、ブローカーを挟まずに直接交渉が出来る出会い系サイト等を使う場合、「騙す」という考え方ではなく、相手と同意のもとでの偽装結婚を求める傾向が多いのではないかと思います。

国際的な出会い系サイト、特に私が紹介しているInternatinal Cupidには、男性の立場として見てみると、圧倒的な人数のフィリピン人女性が登録しています。
次いで多いのは他の東南アジア系と感覚的にはガーナ等の黒人さん達でしょうか。

様々な国の人達がいるのですが、私が日本人男性として登録していた時には、フィリピン人女性からのアプローチがダントツで多く、次いで他の東南アジア系か黒人のアプローチが多かったですね。
ログインする時間帯では、中南米やロシア~東ヨーロッパにかけてのメッセージも多いのですが、白人系になりますと金銭的な詐欺目的が多いので、逆に婚姻目的は少ないように感じました。

ただ、考えてみますと、このようなサイトでフィリピン人が多くなるのは、彼女達の大きなメリット「英語力」も大きな理由かもしれませんね。

これは様々な国の人達とのコミュニケーションにおいてはとても有利と言えます。

偽装結婚という行為に対する罪の意識はどうか

特にフィリピン人の彼女達にとって日本という国は、近くて裕福で安全な国という意識が強いようですし、26万人以上という沢山のフィリピン人が日本に既にいるという点でも、日本へ行きたがるフィリピン人は多いと言えます。

そういう意味でも、少なくともフィリピン人に関して言うならば、「騙す」という行為自体は少なくなってきたと言えます。

その代わり「偽装結婚」に対する罪の意識を持つフィリピン人は、以前よりも限りなく少なくなったと言えますので、これが良いことなのかと言われますと、そもそもの話ではないかと言えるのではないでしょうか。

私が日本で接しているフィリピン人達の認識は、偽装結婚に対する「罪の意識」は皆無に近い状態です。

彼女達が恐れているのは「万一バレたらしばらく日本へ来れなくなる」とか、「ばれないように大人しくしていなくてはならない」とか、そのような身に降りかかる危険という視点のみです。

そのような申し出を受ける日本人、そうまでしてお金が必要な外国人、このような現実があるという事自体が悲しいですね。

どのような理由があろうとも、日本という法治国家が存在し、そこで生活をするためのルールがある以上、偽装結婚は「犯罪」なのです。

本国における意識改革の効果

これはかなり余談と言えますが、私はフィリピンにおいて事業をしております関係上、年に数回渡比します。

過去何十回、いえもっとかも知れませんが、私がフィリピンへ行く度に偽装結婚相手の斡旋を頼まれた時期がありました。

東日本大震災後あたりだったと記憶していますが、私自身がこの感覚自体を変えなければと思い、社内ルールを決めたんですね。

「仕事を目的とした結婚相手の斡旋を依頼した人、考えている人」・・・クビ
「上記についての密告者」・・・密告内容について事実を確認し、それが事実だった場合には、密告者へ報酬支払い

勿論、密告者の匿名性は経営陣だけの機密事項としました。

そしてこの時期にもう1つ、仕事を頑張って結果を出したスタッフに特別報酬制度というのを作り、更に優秀だった数名を日本へ招待するという制度を作りました。

これは大きな効果があり、今私がフィリピンで関わるスタッフには、偽装結婚など考える人はいなくなりました。

根本的な原因は貧困にあるのですから、それを自らの頑張りで脱出する事で、経済的精神的な自立をさせていくこと、それが私がフィリピンと言う国で行っている事業に含まれた私の真の目的でもあります。

少し脱線しましたが、次に「婚姻目的ではない結婚で査証を取得し日本に滞在した場合」の”罪”についてお話します。

偽装結婚はどのような罪に問われるのだろうか

このような婚姻状態は決して愛があるわけではなく、手段として利用しているだけになりますので、法律上取り締まらなければならないところです。

実際にどのような犯罪に該当するかといえば、「公正証書原本等不実記載罪」に該当することになります。

この場合には懲役5年以下ないしは50万円以下の罰金になります。

刑法に記載されている内容はこれだけでなく、相手を騙すつもりで婚姻しそのままお金を持ち逃げしたような場合は窃盗罪ないしは詐欺罪に該当してしまうことになります。

窃盗罪と詐欺罪の違いは、どちらもお金が盗まれることですが、決定的な違いがあるとすれば相手を騙す行為が存在するかどうかです。

相手を騙す行為が存在すれば詐欺罪になり、単なるお金をとって逃げてしまったような場合は窃盗罪に該当します。

もちろん窃盗罪は、お金に関するものではなく、例えばクレジットカードなどをとってしまった場合や、自宅の金庫に置いてあったゴールド、ブランド品などを盗んだ場合もやはりこれにあたります。

いずれも懲役10年以下になりますので、それなりに重たい罪になると考えるべきです。

公正証書原本等不実記載罪の公訴時効と有効性

では、時効が存在するかどうかが気になるところですが、公正証書原本等不実記載罪に関しては公訴時効が適用されますので、犯罪が終わってから3年で成立すると考えた方がよいでしょう。

犯罪とは結婚届けを提出した時からといった意味になります。

そのため、それを過ぎてしまった場合には、犯罪として取り扱うことはありません。

では、偽装したことを配偶者がよく理解して問題ないと考えた場合はどうなるかが問題になりますよね。

つまり悪意も無く周りに流されてしまったまま、偽装結婚をしてしまった、というケースです。

基本的に、公正証書原本等実記載罪は配偶者が同意していたとしても犯罪が成立してしまうものです。

なぜなら、配偶者が被害者ではなく配偶者は共犯として認定されてしまうからです。

偽装結婚の被害者は配偶者ではなく国になりますので、配偶者がいくら問題ないと考えていても捕まってしまうと考えましょう。

配偶者次第と言える詐欺罪と窃盗罪

これに対して、詐欺罪や窃盗罪に関しては、配偶者が問題ないと考えている場合には罪が成立しません。

なぜなら詐欺罪や窃盗罪は、被害者が配偶者にあたるからです。

配偶者が問題ないと許しているならば、そもそも刑法の犯罪を適用する必要はないでしょう。

例えば、自分の子供が親の財布からお金を結んだ場合絶対に警察に届けて起訴するかどうかを決めなければならないかといえば、そのようなことはないはずです。

このように考えれば、そのケースによっては全く犯罪にならないものも存在しますので、事前によく確認をしておくことが大事になります。

万が一どれかの罪にあたってしまっても、実刑が下される可能性は低く、執行猶予がつけられてしまいます。

執行猶予ならば、刑務所に入ることはありませんが、それでも前科者になってしまうため、日本人は履歴に傷が付いてしまうでしょう。

どちらにしろ、いかなる理由があろうとも犯罪に加担してはいけません

神を言い訳にする愚かな行為と受け止めるべき

現実的な話として、私は何人もの“自称”偽装結婚者の外国人を知っています。

なぜ”自称”と表現したかと言うと、それが事実ならば私は日本国民としての義務を果たさなければならなくなるからです。

その女性達が共通で言う決めセリフがあります。

「God knows」
つまり自分が犯す罪に対して、なぜそうしなければならなかったのかを神は知っている。
だから、たとえ日本人を騙しても神はきっと許してくれる

というのです。

私はこの偽装結婚が人道的に良くないことだと知りながら、罪の意識も持たず、このセリフを言う外国人を信用しません。

私のフィリピンスタッフでとても信心深いクリスチャンがいまして、彼女は旦那が病気で死んでしまい、子供を抱えたまま、病気の父親も世話しなければならない状況だった所を、友人の紹介で私のところへ面接に来たんですね。

私は彼女に、外国へ仕事にいく事は考えなかったのかと訊ねました。
勿論VISAが難しいことは知っていますので、意地悪な質問をしたのです。
偽装結婚して夜の仕事すれば?と。

彼女はこう答えました。

「God knows」神は全てを知っているのです。
たとえ子供の為、家族の為であっても、だからと言って他の誰かを犠牲にする行為も神は全て知っているのです。
私は罪を許されて父(Father)の元へ行きたい。
だから正しい行いをしようと努力しているので、偽装結婚はしないし水商売もしない。
たとえ給料は安くても、家族の為だと思えば今の2倍仕事をすればいい。

正直お金をあげる事は簡単でしたが、私は彼女にお金ではなく、他のスタッフよりも2倍の仕事を与えました。

そして、この子は今、私の会社ではスタッフ教育係りとしてマネージャー職へと昇進し、本当に良く頑張ってくれている。

既に会社からの招待により、日本へ2回も来ています。

彼女は今、生活も安定してきて、ようやく精神的にも経済的にも自立しました

最近は旦那が欲しいと思いだしているようですが、今の彼女ならば日本人でも中国人でも、私が知る最も良い男性達を紹介してあげても良いかなと思っています。

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